
世界の観光局に学ぶ、心をつかむソーシャルメディアキャンペーン成功事例4選

世界の観光局に学ぶ、心をつかむソーシャルメディアキャンペーン成功事例4選
世界9兆ドル(約1300兆円)市場へと拡大を続けるウェルネス産業。その成長の波に乗り遅れることなく、日本が「ウェルネス先進国」として国際的な存在感を高めるには、独自の文化や地域資源を活かした明確な戦略が必要です。温泉、和食、禅、森林浴といった「当たり前の日常」が、いまや世界から注目されるウェルネス資源へと変わりつつある今、日本はどのように価値を再定義し、観光や地域産業と結びつけていくべきか。本記事では、国内外の動向とデータをもとに、「日本×ウェルネス」の未来を切り拓くための戦略を考えます。
ウェルネスの市場トレンド
まずはウェルネスにおける市場規模をざっと確認してみましょう。
世界のウェルネス市場は近年著しく拡大しており、2024年時点での世界のウェルネス市場規模は、Global Wellness Instituteの報告によれば約6.3兆ドル(約900兆円)に達し、2028年までに9兆ドル(約1300兆円)に拡大すると予測されています。
これはコロナ禍前の2019年に記録した4.9兆ドルを上回り、パンデミックからの回復とそれを超える成長を示しています。消費者の健康志向の高まりや心身のケアへの関心増大を背景に、ウェルネス経済は今後も年間8%台後半のペースで成長し、2027年には約8.5兆ドル(2020年比でほぼ倍増)の市場規模が予測されています。
ウェルネス産業には多岐にわたるセグメントが含まれ、その範囲は個人ケア・美容や健康的な食事・栄養管理から、フィットネス・身体活動、メンタルヘルス、スパ・温浴、ウェルネス旅行、さらには予防医療や伝統医療まで11分野に及びます。
さらにパンデミックを経て特にメンタルウェルネス(心の健康)や予防・公衆衛生への関心が高まり、各国政府や医療分野でも予防的なウェルネスへの投資が増加したと報告されています。また、旅行分野ではウェルネスツーリズムが急成長しており、2020年から2022年に年率36%で市場規模が拡大、2022年に約6510億ドルに達しました。ウェルネスツーリズム市場は2023年に8680億ドル、2024年に1兆ドルを超えると見込まれ、2022年から2027年にかけて世界全体で倍増以上に拡大するとの予測もあります(Global Wellness Institute)。
このように、世界規模でウェルネス産業は主要な成長市場となっており、ここに各国の企業や地域が新たなビジネスチャンスとして注目している理由があります。
日本文化に見るウェルネスの概念と伝統
日本では「ウェルネス」という言葉こそ近年になって用いられるようになったものの、その概念は古くから日常生活や伝統文化の中に根付いてきたものといえます。
例えば、温泉文化。日本の温泉は単なるリラクゼーションに留まらず「湯治」として自然の力を借りた療養の場として発展してきた歴史がありますね。何を隠そう、私が現在住んでいるドイツのバーデン=バーデンも欧州有数の高級温泉保養地であり、その文化的価値から「ヨーロッパの大温泉保養都市群」として世界遺産に登録されているほど。そんな私の視点からしても、豊かな自然環境の中で軟らかい湯に浸かる日本の温泉でのひとときは、欧州のいわゆる「スパ文化」とはかなり異なる、独特の癒しをもたらすものだとみています。
また日本の食文化にも、古くからウェルネスの思想が息づいています。たとえば「一汁三菜」という基本の食事構成は、栄養バランスを自然と整える仕組みであり、「腹八分目」という節度ある食べ方も、身体への負担を抑える生活の知恵といえるでしょう。また、食材を無駄にしない「もったいない」の精神も、日本独自のサステナブルな価値観として、近年では海外からも注目を集めています。
私自身、ドイツで生活する中で日独の食文化の違いを感じる日々です。ドイツでは基本的に肉料理が中心となり、食材の種類や調理法は比較的シンプル。栄養価や満腹感はあるものの、季節感や盛り付けの繊細さといった点にはあまり重きが置かれていないように感じられ、日常的な食事はどちらかというと「ルーティン」として位置づけられている印象を受けます。それに対して日本の食卓は、季節の移ろいに応じた旬の食材を使い、見た目の美しさや香り、食感といった五感に訴える工夫が随所に見られるのが素敵なところ。これは単に栄養を摂るだけでなく、そうした細かな心配りが、食事をより丁寧で豊かなものにし、日常の中に小さな満足感やリフレッシュのひとときを生み出しているように感じます。
さらに、武道。私自身も学生時代に嗜んでいましたが、その根底にある日本発祥の禅の精神や、それが欧米で発展したマインドフルネスの存在も見逃せません。禅宗に由来する座禅瞑想は心の静けさと集中を高め、ストレス軽減や精神安定に効果があるとして国内外で注目されてきました。茶道や華道、剣道や柔道といった「道」を極める伝統文化もまた、心身を統一し自己を見つめ直す修練として海外では高く評価されています。こうした東洋的な精神修養の要素は現代のビジネスや教育分野でマインドフルネス手法として取り入れられるなど、グローバルにも通用するウェルネスの源となっています。特に欧米では日本の「Zen(禅)」や「森林浴(Shinrin-yoku)」「生きがい(Ikigai)」といった日本語がそのままウェルネスを象徴するキーワードとして定着しつつあり、日本発の哲学や生活様式が近年認知度を高めつつあります。
このように日本の文化・伝統にはウェルネスの理念が深く内包されており、自然との共生や心身の調和を重んじる姿勢が長い歴史を通じて培われてきたといえます。それは現代においても、温泉療法、伝統的な食養生、禅の瞑想など様々な形で受け継がれ、人々の健康と幸福を支える基盤となっているといえます。

日本におけるウェルネス市場規模とその特徴
日本国内のウェルネス市場は、その明確な定義が難しいものの近年着実に拡大しているといえます。経済産業省の推計によれば、公的医療・介護保険の適用外で人々が自費で費やす健康関連市場は2016年時点で約25兆円に上り、2025年には約33兆円に達すると予測されています。日本には「ウェルネス産業」という包括的な統計区分が存在しないため数値把握が難しいところですが、経産省の別試算では「ウェルネス」という枠組みに該当する市場規模は約10兆円程度とされているます。定義によって幅はあるものの、日本のウェルネス関連支出は数十兆円規模に及ぶ巨大マーケットであり、グローバルに見ても米国・中国・ドイツに次ぐ第4位の規模を持つとされています(Global Wellness Institute)。
日本のウェルネス市場特有の特徴として、まず人口構造と健康志向が挙げられます。長寿高齢社会である日本では、医療費抑制や生活の質向上の観点から予防や健康増進への関心が年々高まっています。実際に企業による従業員の健康経営やフィットネス産業の活況、サプリメント・健康食品市場の拡大など、様々な分野でウェルネス関連ビジネスの需要が増してきています。また、高齢化と少子化の進行は新たなマーケット拡大のチャンスともなっており、健康寿命を延ばすサービスやシニア世代向けのウェルネス商品などに成長余地が見込まれているます。このように国内市場は今後も拡大が期待されており、伝統的な温浴施設から最新のデジタルヘルス機器まで、多岐にわたるプレイヤーが参入しつつある状態です。
一方で、日本のウェルネス市場には独特の文化的背景があるため、国際比較で見ると消費者行動やセグメント構成に違いが見られる点も興味深いところです。例えば、日本では美容やパーソナルケア、食生活改善といった領域への支出割合が高い一方で、スパやヨガ・メディテーション産業の比重は欧米に比べると小さい傾向があります。これは前述のようにウェルネス的な活動が日常生活に溶け込んでいるため、専用サービスとして消費されにくい文化的特性とも言えるかもしれません。総じて、日本は豊かな伝統資源と高い健康意識を併せ持つ市場であり、その潜在力は非常に大きいといえます。
海外と日本におけるウェルネスの認識ギャップ
グローバルに「ウェルネス」と言った場合、その捉え方やアプローチは国や地域によって様々であり、日本と海外の間にもいくつか顕著な違いが存在します。海外、特に欧米ではウェルネスは一種のライフスタイルコンセプトとして浸透し、スピリチュアルな探求や自己啓発の要素と結びつくことが多いです。ヨガやメディテーション、オーガニック志向の食生活、マインドフルネスやスピリチュアルヒーリングまで、個人の幸福追求の包括的な概念としてウェルネスが語られる傾向にあります。一方で日本では、ウェルネスに該当する行為が伝統的に健康法ないし文化的習慣として位置づけられてきた経緯があり、必ずしも「ウェルネス」という単一の言葉で意識されてこなかったように思います。例えば、禅や湯治、食養生や季節の行事などはそれぞれ独立した文脈で実践されてきたため、日本人にとってウェルネスはあくまで日常の一部であり特別視しない向きがあるといえます。
この認識の差は、インバウンド観光客の期待とのギャップにも見て取れます。ある調査によれば、訪日経験のある外国人富裕層の約8割が「ウェルネス」に関連する項目を日本旅行の目的にあげており、心身とも健康になれる国、日本という大きな期待感を抱いています。彼らにとって日本は、世界一の温泉大国であり、伝統的な和食文化・禅の哲学を持ついわゆる「Jウェルネス」の宝庫であり、まさにスピリチュアルな癒しから文化的体験まで含めた総合的なウェルネス先進国と映っています。実際、ドイツでも「IKIGAI(茂木健一郎著)」といった本がベストセラーになるなど、日本発のウェルネスコンセプトがブームになるケースも少なくないと感じています。
しかし、日本国内ではそうした自国のウェルネス資源の価値を十分に認識できていない側面もあります。ある調査では、日本を訪れた外国人旅行者の7割以上が「ウェルネスに関するサービスやコンテンツが他国と比べて不足している」と感じたと回答しています。その理由として、言語の壁(情報発信が日本語中心で多言語対応が不十分)や地方部での受け入れ体制の弱さが挙げられ、さらに日本人自身が当たり前と感じている温泉・和食・禅などの価値を国際的視点で再評価できていないこともあげられます。つまり、海外では高く評価され、憧れの対象となっている日本のウェルネス文化が、国内では産業として体系化・発信されておらず機会損失に繋がっている現状があるといえます。日本が持つ潜在的なウェルネス価値を改めて見直し、それを現代的なサービスや観光資源として磨き上げていくことが、今後日本がウェルネス分野で国際的な地位を確立する上で重要になるのではないでしょうか。

ウェルネスを活用した観光・地域産業の機会と事例
観光・地域産業においてもウェルネスは大きなキーワードとなっています。世界的に旅行需要が「モノ消費」から「コト消費(体験重視)」へシフトする中で、心身の健康や癒しを求めるウェルネスツーリズムが注目されてくるのも自然な流れと言えるでしょう。世界のウェルネスツーリズム市場規模は約6,000億ドルに達し、日本国内においても2023年時点で191億ドル(約2.8兆円)規模に上ると推計されているます。しかし、この分野における日本のシェアはまだ小さく、上述したような世界有数の伝統資源を持つゆえ、今後の伸び代が大きいと考えられます。実際、先の調査で多くの訪日客が指摘したように、日本にはウェルネス目的の旅行者を受け入れるコンテンツ整備の余地が残されており、ここに観光業界の成長機会があります。
そんな中、日本各地でウェルネスを切り口にした観光コンテンツ作りも進められています。例えば、森林面積が町域の80%を占める茨城県大子町では、その豊富な森を活用した「森林セラピー」体験を観光資源として開発し、科学的エビデンスに基づいた癒し効果を打ち出しています。長野県や山梨県でも豊かな森林や高原の気候、温泉を組み合わせたリトリート(retreat)施設が登場しつつあり、八ヶ岳エリアでは「フォレストウェルネス」と銘打った森林浴や瞑想プログラム、温泉療法を提供する宿泊施設が人気を集めています。また、京都や奈良などの古都では寺院での座禅体験や写経体験が外国人観光客向けにアレンジされ、伝統文化とマインドフルネスを融合したユニークなウェルネス観光商品となっています。農村部でも、農家民泊で地元の野菜を使った健康料理教室や、里山散策と温泉入浴を組み合わせたツアーなど、地域資源を活かしたウェルネス体験が各地で試みられ始めています。
宿泊業界に目を向けると、国内外のホテルがウェルネス要素を付加価値として取り入れる動きが加速しています。近年、日本国内への外資系ホテル資本の投資が活発化する中で、新設・改装ホテルではスパ設備の充実やヨガ・瞑想クラスなどウェルネスプログラムの導入が一種のトレンドとなってきています。海外の高級リゾートでは、顧客単価(ADR-Average Daily Rate)向上の最も有効な投資先に「スパ施設」を挙げる経営者が多いとの調査結果もあり、日本のホテル業界もそうした潮流に追随し始めた形だと考えられます。実際、星野リゾートをはじめ国内旅館・ホテルチェーンも「癒し」や「心地よさ」をテーマに掲げたブランド展開を強化しており、温泉旅館にアロマセラピーやパーソナルトレーナーを常駐させるなど、滞在自体がウェルネス体験となる宿泊商品が増えています。地域産業においても、地場の伝統工芸や自然資源をウェルネス観光と結びつける取り組みが見られ、例えば金継ぎ(割れた陶器を漆と金で継ぐ修復技法)体験は「わびさびの心」に触れる癒しのワークショップとして海外旅行者に人気が出始めており、鹿児島県指宿市では砂蒸し温泉と瞑想を組み合わせたプログラムを商品化するなど、新規性のある企画が続々と登場しています。
このように、ウェルネスは日本の観光・地域振興にとって重要な切り札となり得ます。豊富な資源を持ちながら未だ伸びしろを残す分野であり、各地の事業者が創意工夫を凝らした体験サービスを提供することで、観光客の満足度向上と地域経済の活性化の双方を実現できる可能性が高いといえます。今後はこれらの事例を横展開し、日本全体としてウェルネスツーリズムの魅力を高めていくことが求められると考えています。

今後の発展に向けた戦略的示唆
―「日本×ウェルネス」が世界で選ばれる存在となるために―
本記事では、世界規模で拡大を続けるウェルネス市場の動向、日本文化に根差すウェルネスの思想、日本における市場の特性と課題、そして地域産業や観光との融合による可能性について多角的に考察してきました。こうした知見を踏まえ、日本がウェルネス先進国として世界での存在感を高め、産業としての成長を持続させるためには、以下の5つの観点から戦略的に取り組む必要があります。
1. 「Jウェルネス」ブランドの確立と多言語発信の強化
日本が持つ温泉、和食、禅、森林浴、伝統文化などは、すでに世界の富裕層旅行者から高い評価を受けており、訪日観光の大きな動機となっています。特に「Zen」や「Ikigai」「Shinrin-yoku」など、日本語そのものがウェルネスの象徴として定着し始めている今、こうした要素を断片的にではなく、体系的に統合し、明確なビジョンと物語性をもった「Jウェルネス」ブランドとして構築・発信することが求められます。
ブランドの構築においては、「心と体が同時に整う場所」「文化を通じて癒される体験」といった価値提案を軸に据えつつ、多言語での発信を強化し、海外市場における日本のウェルネスの認知と理解を深めていく必要があります。ポストコロナを経て、今後AIにより人間の余暇時間が増えていくと思われる時代において、「日本を訪れることが心身のリセットにつながる」というイメージを戦略的に確立することが、観光誘致とブランド価値の向上の鍵を握ります。
2. ウェルネス体験の質的向上と受け入れ体制の整備
現在、日本には優れた資源がありながらも、訪日外国人が満足するレベルのウェルネスサービスや環境が十分に整っているとは言えません。特に言語対応や情報発信の不足は、ウェルネスを目的とする旅行者にとって大きな障壁となっています。これを解決するためには、まず施設における英語・多言語での案内、ウェブ上の分かりやすい情報提供、簡便な予約・決済システムの整備など、基本的な「おもてなしの土台」を見直す必要があります。
さらに、ウェルネスを支える人材の育成も不可欠です。温泉地や宿泊施設においては、従業員がウェルネスに関する基礎知識や国際的な感覚を持つことで、旅行者のニーズに答えられる確度が上がります。また地域資源を生かすには、ヨガインストラクターやマインドフルネスの講師、管理栄養士などとの連携を通じて、地域に即した独自性のあるプログラムを開発し、付加価値の高い体験を提供していくことも有効であると考えられます。
3. 地域資源を核とした独自性のある商品開発と差別化
タイやインドネシアといった他のアジア諸国がスパやヨガリトリートで先行している中、日本が競争優位を築くためには、「日本にしかないウェルネス体験」を磨き上げる必要があります。日本は火山地帯特有の温泉資源や、四季折々の自然、土地ごとの信仰・風習、侘び寂びの文化、伝統的な食文化など、地域ごとに多様で深みのあるウェルネス資源を持っています。
これらを活かし、たとえば「山岳信仰と湯治を融合させた体験」「海辺の静寂の中で行う呼吸法と地元の食材によるデトックス料理」といったように、テーマ性を明確にした観光商品として再構成することが重要です。地域ごとの強みを見極め、独自性を前面に出したプログラムを開発することで、訪問理由の明確化と満足度の向上が期待できます。国や自治体はそうした取り組みに対して資源を投下し、成功事例のモデル化と全国展開を図るべきです。
4. 国際連携による学びと発信の循環づくり
ウェルネスはグローバルに広がる潮流であり、日本もまたその中で発信力と学習力の両面を強化する必要があります。すでに国内ではいくつかの国際カンファレンスや専門家ネットワークが形成されつつありますが、今後はそれをさらに推進し、研究・実践・発信が循環する場として育てていくことが求められます。
世界の先進事例との連携も大きなチャンスです。日本の宿泊施設が海外のリトリート施設と提携し共同プログラムを開発したり、欧米のウェルネス系メディアと連携して特集を組むなど、グローバルなブランド価値の創出を目指す取り組みも有効ではないでしょうか。国際的な視点を取り入れた運営やマーケティングが、日本のウェルネス産業の質と信頼性を高める力になると信じています。
5. イノベーションと評価指標による持続的成長の仕組み化
ウェルネス産業が発展途上にある今こそ、新たな価値を創出するためのイノベーションが重要です。日本には、ヘルステックの分野で世界的に高い技術を持つ企業も多く、ウェアラブルデバイスやアプリケーションを活用することで、個々の利用者に合わせたウェルネス体験のパーソナライズが可能となります。たとえば、旅館での滞在中に取得した睡眠データや心拍データを活用して、次の体験提案につなげるような試みは、すでに現実的な選択肢となっています。
加えて、施策の成果を可視化する評価指標の設計も重要です。顧客満足度、再訪率、健康改善効果、地域経済への波及など、定量・定性の両面でモニタリングし、改善のためのPDCAを回していくことで、サービスの信頼性と競争力が高まります。これにより、単なる一過性のブームではなく、社会的インパクトを持った持続可能な産業としての発展が可能になります。
最後に
日本には、世界でも類を見ないほど豊かで奥深いウェルネス資源が日常の中に息づいています。それを自国の「当たり前」で終わらせるのではなく、戦略的に再発見し、磨き直し、世界に向けて価値ある体験として届けていくこと―それが今、求められている第一歩だと思っています。伝統と先端技術、地域性とグローバル視点が交差するこの分野において、日本は間違いなく大きな可能性を秘めています。ウェルネスを通じて人々の健康と幸福を支える産業へ、そして日本の地域や文化を次世代につなぐ力強い推進力へと成長させていくために、今こそ多様な関係者が協働し、未来へのアクションを始めるべき時だと考えています。